疑惑の美女

ウエイトレスのヴァレリーは誰にも知られたくない秘密を抱え、半年前にロイヤルの町にやってきた。
犯罪者だったと言われる曾々祖母の過去を調べて、自分に呪われた血が流れているのかどうかを確かめたいのだ。
この町に越してきて以来、保安官のギャヴィンに引かれているが彼に私の目的を知られるわけにはいかない。
なのにひょんなことから、ヴァレリーはギャヴィンの家に間借りすることになってしまった。
彼にすべてを知られる前に、早くこの家から出ていかなければ。
ずっと彼のそばにいたくならないうちに。
テスは数カ月前、リゾートホテルで出会ったベンと一夜だけのすばらしい時を過ごした。
謎めいたハンサムな男性ベンは、いっときの情事を求めているだけだと彼女にはっきりと告げた。
そこでテスは、翌朝、そっと彼の前から姿を消したのだ。
だが思いがけず妊娠してしまったことを知り、著名な映画プロデューサーだというベンの豪壮な屋敷を訪ねたテスは冷酷な言葉を浴びせられて愕然となる――本当に僕の子か、と。
なんですって? 彼の財産目当てに、私が嘘をでっちあげたとでも? テスは憤慨してその場を去るが、数日後、驚くべき提案をされる。
目の前に立つ男性を見てフィービは言葉を失った。
姉の恋人だったウェイド――私がこれまでに愛した唯一の男性だ。
一年ほど前のあるパーティの夜、フィービはずっと憧れていたウェイドに思いきってダンスを申し込んだ。
だが、その姿を見た姉が激しい嫉妬にかられて会場を飛び出し、車を暴走させて事故死したのだ。
二人は思わぬショックにうちひしがれ、葬儀が終わったあと、慰めを求めてベッドをともにしてしまった……。
もう一度君に会いたかったと言うウェイドに、フィービは背を向けた。
姉をまだ思いつづける彼に、あの日生まれた秘密を知られるわけにはいかないのだから。
新聞記者のメリーナはここ数カ月、大きなスクープを追い、ひとりの男の行方に迫っていた。
ベネディクト・ペイン――別名タイタン。
国際的な犯罪組織のボス。
ある夜、メリーナが情報提供者と会っているところに、一台のバンが突っこんでくる。
ひかれる寸前で、彼女は見知らぬ男に助けられた。
長い黒髪、広い肩、鋭い精悍な顔立ち。
助け起こされた瞬間、強烈なエネルギーがメリーナの体を貫いた。
この人はいったい何者? はじめて会ったはずなのに、手をつかまれただけで背筋が震え……異性を意識させられてしまう。
事故に遭ったばかりの、こんなときに!ジェスは抜群のスタイルと美貌の持ち主。
暴力的な夫から逃れ、やっと幼い娘との平和な暮らしを取り戻した。
半年前、この町へ越してきた隣人、ロブ・カーペンターはハンサムで穏やかで、娘のケルシーもなついている。
彼と三人、家族になれたらどんなに素敵かしら……。
だがちょうど半年前から、町では残虐な連続殺人事件が発生し、奇妙にも、ジェスに似た美女たちが次々と惨殺されていく。
“ジェスに恋い焦がれる、幼児期に虐待を受けた男”FBIが分析した犯人像に、ジェスは戦慄を隠せない。
ある嵐の晩、ジェスはロブの部屋で喉元にナイフを突きつけられる。
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